他者を敵と見なしてしまう原因に、承認欲求があるということをお伝えしました。
承認欲求は元々人間にある欲求で、アメリカの心理学者であるマズローが提唱した5つの欲求でも、上から2番目の欲求とされています。
このピラミッドの上に行けば行くほど、高次の欲求となります。
この高次の欲求である承認欲求を捨てるのは、なかなか大変なことです。
承認欲求の呪縛から逃れるには
過度に他者に認めて欲しいとか、世の中の中心に自分がいなくてはいけないなどといった意識から逃れるためのポイントが、
「課題の分離」
です。
課題の分離とは、「課題の最終的な責任を誰が引き受けるのかという視点から、自分の課題なのか、他者の課題なのかを切り離して考える」
ことです。
例えば、あなたはどんなに売上を伸ばしても、上司になかなか評価してもらえないという悩みを抱えているとします。
ここで課題の分離をしてみます。
売上を伸ばすという課題の最終的な責任を誰が取るのかという視点で考えると、売上を伸ばすことの責任はあなたにあります。
一方で、部下の仕事を正しく評価をするという課題の最終的な責任を負うのは、上司です。
あなたの気持ちは痛いほどよくわかりますが、アドラー心理学では、あなたが取り組まなくてはいけない課題は、上司に正しく評価をしてもらう様に働きかけるのではなく、自分に課せられた課題を解決すること、つまり売上を伸ばすことなのです。
ここに対人関係のトラブルの原因があります
この例えでは、あなたの上司に対するイライラする気持ちは痛いほどわかります。
そこで、上司に何で認めてくれないのか!という気持ちから、悪口を言ったり、直談判をしたりしたとします。
決して上司はいい気はしないでしょう。それはなぜなんでしょうか?
アドラーは
「あらゆる人間関係のトラブルは、他者の課題に土足で踏み込んでいくから起きるのだ」
と言っています。
原因は、部下を正しく評価するという上司の課題に、あなたが土足でズカズカとは言っていくからなのです。
つまり、承認欲求に任せて認めて欲しいといくら叫んでも、認める・認めないは他者の課題なので、自分ではどうすることもできないということです。
ここにアドラーが承認欲求を捨てるべきだと主張する一因があります。
最終的にできることは
他者に変わって欲しいと願っても、変わる・変わらないは他者の問題なので、どうしようもありません。
とすれば、最終的にできることは
「自分が変わること」
しかありません。
自分が変わることによって、他者が変わるかどうかは他者の問題ですので、他者を支配したりコントロールすることはできないという事を認識することが大切です。
この考え方を知ってから、私は少し気持ちが楽になりました。そして、自分の課題に集中することができ、人生をいい方向に転換することができました。
自分で自分を認めてあげることも、大切なのかもしれませんね。
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